お疲れ様ですーー「ユヲン」ですーー
今回紹介するのは、東野圭吾さんの『あなたが誰かを殺した』です。
加賀恭一郎シリーズの第12作目となる本作は、避暑地の別荘で起きた連続殺人事件を描いたミステリー小説。
個人的には、最近読んだ東野圭吾作品の中でもかなり好きな作品でした。
何が面白いって、
犯人が最初から分かっているんです。
「じゃあ、ミステリーとして何を楽しむの?」と思いますよね。
ところが、そこから事件の真相が二転三転していきます。最初に犯人として捕まった人物。
その裏にいた共犯者。そして、事件がすべて解決したと思った最後に明らかになる、もう一人の「殺した人」。
今回は、そんな『あなたが誰かを殺した』について、犯人・動機・結末までネタバレありで紹介します。
まだ読んでいない方は、ここから先は注意してください。
この記事を読んでわかること
- 『あなたが誰かを殺した』のあらすじ
- 『あなたが誰かを殺した』の犯人と事件の真相
- 栗原朋香や鷲尾春那が事件にどう関わっていたのか
- 最後に明らかになる意外な結末とどんでん返し
- 実際に読んで感じた作品の感想や、どんな人におすすめなのか
『あなたが誰かを殺した』のあらすじ

物語の舞台は、夏の避暑地にある高級別荘地。毎年恒例となっているバーベキューパーティーに、別荘を持つ家族たちが集まります。
しかし、その夜。
パーティーに参加していた人々が次々と襲われ、5人が殺害され、1人が重傷を負うという凄惨な事件が起こります。
ところが、事件は意外な展開を迎えます。犯人を名乗る男が、自ら警察に出頭したのです。
その男の名前は、桧川大志。
桧川は「死刑になりたい」という理由から殺人を犯したと話します。普通なら、ここで事件は解決に向かいそうですよね。しかし、遺族たちは桧川の説明だけでは納得できません。
そこで事件の真相を明らかにするため、「検証会」が開かれることになります。そして、その検証会に参加することになったのが……
加賀恭一郎。
ここから、事件に隠されていた本当の真相が少しずつ明らかになっていきます。
ここからネタバレ!犯人は桧川大志なのか?
まず、事件の犯人として自首したのが桧川大志です。桧川は自分が殺人事件を起こしたことを認めています。
しかし、加賀が事件を調べていくと、桧川一人では説明できないことが出てきます。
特に大きなポイントとなるのが、「高塚桂子を誰が殺したのか?」という問題。
桧川には、別荘地の内部事情を詳しく知ることができる協力者がいたと考えられます。
そして加賀がたどり着いた共犯者が……
栗原朋香です。
中学3年生の少女だった朋香が、桧川の共犯者だったのです。
栗原朋香が桧川の共犯者だった理由
朋香は、自分の両親である栗原正則と由美子に対して強い不満を抱いていました。その背景には、朋香が可愛がっていた猫の「ルビー」の存在があります。両親に対する不満やルビーをめぐる出来事などから、朋香は両親を殺したいという気持ちを抱くようになります。
そこで朋香は、インターネット上で「マリス」と名乗る人物と接触します。この「マリス」こそ、桧川大志でした。
桧川は以前から「死刑になりたい」と考えており、殺人を実行する相手を探していました。
そこで朋香から別荘地の情報を得ることになります。朋香は別荘の防犯カメラの記録を消したり、別荘の鍵を開けたりするなど、桧川が侵入しやすい状況を作ります。
つまり、桧川が実行犯で、朋香が内部から協力していたというわけです。
栗原朋香が高塚桂子を殺した
さらに驚くのが、朋香自身も殺人を実行していたこと。桧川は、できるだけ多くの人間を殺害し、大きな事件にしたいと考えていました。そのため朋香は、高塚桂子を呼び出して殺害します。これによって、事件は単純な「桧川による連続殺人」ではなくなります。桧川だけではなく、朋香も殺人を実行していた。加賀は事件関係者の証言やアリバイなどを一つずつ確認し、桧川の共犯者が朋香であることを突き止めます。ここで一度、事件は解決したように見えます。
しかし……
本当の怖さはここからでした。
まだ終わっていなかった事件

事件の全貌が明らかになり、検証会も終わります。これで一件落着。……と思いますよね。
ところが、加賀はまだ事件に違和感を持っていました。その違和感の正体が、「ナイフの数」です。
桧川は犯行のために10本のナイフを用意していました。しかし、事件で使用されたナイフや残されたナイフを数えていくと、1本足りない。「なぜナイフが1本足りないのか?」ここが最後の大きな謎になります。
そして、もう一つ気になるのが鷲尾英輔の死。
英輔は桧川に刺されています。しかし、実はその時点ではまだ生きていました。
つまり、
英輔を最終的に殺したのは誰なのか?
という疑問が残ります。
鷲尾英輔を殺した犯人は誰?
ここで登場するのが、英輔の妻である鷲尾春那です。英輔は桧川に刺されたものの、まだ死亡していませんでした。
そして春那は、桧川が残したもう一本のナイフを使い、英輔の胸を刺します。つまり、英輔に致命傷を与えたのは、
桧川大志ではなく、鷲尾春那だった。
これが本作最後の大きな真相です。
しかも、春那には英輔を殺す理由がありました。英輔は、春那の叔母である山之内静枝と不倫関係にあったのです。
その事実を知った春那は、夫に対して強い憎しみを抱いていました。
そして、桧川による殺人事件に紛れる形で、夫を殺してしまったのです。
なぜタイトルが『あなたが誰かを殺した』なのか?
ここが個人的に一番好きなところ。タイトルは、『あなたが誰かを殺した』です。
最初は、単純に殺人事件の犯人を指しているように思えます。しかし、最後まで読むと、この言葉が一人だけを指しているわけではないように感じます。
桧川は人を殺した。朋香も人を殺した。そして、春那も夫を殺した。
さらに、それぞれが誰かに対して強い感情を抱えています。「殺した」という言葉を、単純に肉体的な殺人だけとして考えていいのか。
そこまで考えさせられるタイトルになっていると思います。
『あなたが誰かを殺した』を読んだ感想
個人的に一番面白かったのは、やっぱり最後の二段構えです。最初に「桧川が犯人」と分かる。
そこから、「いや、共犯者がいるぞ」となり、栗原朋香が浮かび上がる。
さらに、「これで全部解決した!」と思ったところで、「あれ、ナイフが一本足りない」となる。
この流れがかなり好きでした。特に、最後に鷲尾春那が英輔を殺していたと分かったことで、事件全体の見え方が変わります。最初から読み返してみると、「この場面、そういう意味だったのか」と思える部分も出てくる。
こういう後から意味が変わる伏線が好きな人には、かなり刺さる作品だと思います。
個人的には「人間の怖さ」が一番印象に残った
この作品を読んでいて感じたのは、単純な「犯人の怖さ」だけではありません。登場人物たちは、一見すると普通に生活している人たちです。別荘を持ち、家族と過ごし、バーベキューを楽しんでいる。外から見れば、何も問題がないように見えます。
ところが、その裏側には夫婦関係の問題や、家族への不満、不倫、嫉妬など、それぞれが抱えている秘密があります。
つまり、
「誰だって、他人には見せていない顔がある」
ということ。
この部分が本作の怖さでもあり、面白さでもあると感じました。
『あなたが誰かを殺した』はこんな人におすすめ
東野圭吾のミステリーが好きな人
これは当然おすすめです。
特に、伏線を回収していくタイプのミステリーが好きなら楽しめると思います。
加賀恭一郎シリーズが好きな人
本作は加賀恭一郎シリーズなので、加賀の推理を楽しみたい人にもおすすめ。
派手な推理というより、登場人物の証言を一つずつ確認しながら真相に迫っていくところが魅力です。
「犯人は誰?」だけではないミステリーが好きな人
本作では犯人が早い段階で分かります。
そのため、「犯人当てより、事件の裏側を知りたい」という人に向いています。
どんでん返しが好きな人
「犯人判明→共犯者判明→さらに別の殺人が判明」
という流れなので、最後まで何が起こるか分からない作品が好きな人にもおすすめです。
まとめ|『あなたが誰かを殺した』は最後まで油断できない
今回は、東野圭吾さんの『あなたが誰かを殺した』について、犯人や結末までネタバレありで紹介しました。
改めて整理すると、
最初に自首する犯人:桧川大志
桧川の共犯者:栗原朋香
鷲尾英輔に致命傷を与えた人物:鷲尾春那
という三段構造になっています。
個人的には、最後の「ナイフが一本足りない」という違和感から、春那の殺人が明らかになる展開が一番好きでした。
事件が解決したと思わせてから、最後にもう一つ真相を隠している。この構成はさすが東野圭吾さんだなと思います。
そして何より、「あなたが誰かを殺した」というタイトルの意味を考えながら読み終えると、また違った面白さがあります。
単純な犯人当てミステリーではなく、登場人物それぞれが抱える秘密や感情まで楽しめる作品です。
東野圭吾さんが好きな人はもちろん、
「最後にもう一回ひっくり返されるミステリーが読みたい!」
という人にもおすすめ。まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。
読み終わった後に、最初からもう一度読み返したくなる一冊でした。


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